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2022.04.01
砂糖の効用
砂糖はただ甘いだけでなく、いろいろな特質を持っています。
もっとも基本的で重要な特質は水に溶ける…
いいかえれば、まわりから水を奪いとることです。
お菓子、飲みもの、料理などで、砂糖の特質がどんな働きをしているかをみていきましょう。
砂糖はデンプン食品のやわらかさを保ちます。
砂糖はデンプン食品のやわらかさを保ちます。ごはんやパン、餅などを放っておくと、老化といって固くなったりパサパサになってしまいます。老化が起るのは水分が原因ですから、砂糖を加えて水分を砂糖の方にとらせてしまうと、老化が起リにくくなります。しかも、砂糖は吸いとった水を離さないので食品は乾燥しにくくなリ、いつまでもやわらかさを保ちます。砂糖をたっぷリ使った上等のお菓子はいつまでも固くならないし、砂糖を入れたすし飯はボロボロになりにくいですね。
砂糖はジャムやマーマレードをつくります。
砂糖はジャムやマーマレードをつくります。果物に含まれるペクチンがゼリー状に固まったものが、ジャムやマーマレードです。ところで、ペクチンがゼリー化するのは、砂糖がペクチンを綱目のようにつなぎ、その網目の中に水をかかえ込んでしまうためです。
砂糖はメレンゲやホイップクリームの泡立ちを保ちます。
砂糖はメレンゲやホイップクリームの泡立ちを保ちます。卵白や生クリームを泡立てて、メレンゲやホイップクリームをつくるとき、砂糖を加えると泡立ちがよく、できた泡がなかなか消えません。これは砂糖が水分をとるので、泡が乾燥して安定するからです。
砂糖は脂肪の酸化を防ぎます。
砂糖は脂肪の酸化を防ぎます。バタークリームのケーキなど、脂肪を使った食品に砂糖をたっぷリ入れておくと、脂肪の酸化(変敗)がおさえられて味が悪くなりません。砂糖の濃い溶液には酸素が溶けにくいからです。
砂糖は腐敗を防ぎます。
砂糖は腐敗を防ぎます。腐敗を防ぐものといえば、防腐剤や塩を思い出しますが、砂糖にもたいへん強い防腐力があります。
砂糖の、水分をかかえ込みなかなか離さない特質のために、微生物の細胞の水分が奪われて活動できなくなるからで、砂糖をたっぷリ使ったお菓子やジャム、砂糖漬が腐リにくいのはこのためです。
砂糖の入れ方が少ないと防腐の効果がありませんので、防腐の目的で砂糖を使う場合には、少なくとも全重量の半分以上の砂糖を使う必要があります。
砂糖は発酵してパンをふくらませます。
砂糖は発酵してパンをふくらませます。イースト(酵母)は砂糖やブドウ糖などの糖分を発酵させて炭酸ガスとアルコールにします。この炭酸ガスがパンをふくらませています。もともと小麦粉にも糖分が含まれていますが、その量はごくわずかで、発酵源としては不十分です。
そこで別に砂糖を加えてやれば発酵が活発になって生地がふっくらとふくらみ、味が良くなります。ですから、甘くない食パンやロールパンでも、すべてといってよいほど砂糖が使われています。
砂糖はたんぱく質やアミノ酸と反応して、香ばしい匂いやおいしそうな焼色をつけます。
砂糖はたんぱく質やアミノ酸と反応して香ばしい匂いやおいしそうな焼色をつけます。
しょう油と砂糖を煮つめると、しょう油の中のアミノ酸が砂糖と作用しあっておいしそうな色と香ばしさをかもし出します。
ケーキやパン、ビスケットも、卵や小麦粉のたんぱく質と砂糖が働きあって、あのおいしそうな色がつくのです。
砂糖は煮つめる温度によって、いろいろに変化します。
砂糖は煮つめる温度によって、いろいろに変化します。まず、105度くらいで煮つめると蜜(シロップ)、105-120度で煮つめて急速に冷却すればパンやケーキの白いころもになるフォンダンができます。ソフトキャンデーは130度前後、ドロップは150度くらい、ベッコーあめは160~165度、さらに195度以上にするとカスタードプディングにかけるカラメルができます。
砂糖は臭いを消し、苦みや酸味をやわらげます。
砂糖は臭いを消し、苦みや酸味をやわらげます。苦みの強いコーヒーに砂糖を入れるとやわらかい苦みになリ、酸味の強い夏みかんも砂糖をかければおいしく食べられます。また、魚を煮るときに砂糖を入れると、なまぐささが消えて、おいしくなります。